ご――ん




「・・・・・はっ」


・・・・少し、うとうとしてたみたいです

どうやら、TVで最後の鐘の音がなったようです

・・・・ああ、『今年』も終わってしまったのですね

・・・・いえ、『去年』でしたか

『去年』も色々ありました




悲しい別れ

嬉しい出会い




・・・・・決して、忘れられない想い出です

『今年』は、どんな年になるのでしょうか

楽しみです

出来る事なら、いつまでも『あの人』と一緒に・・・・・




ピーンポ――ン




「・・・・・・・」


まさかとは思いつつ、ドアホンに出てみます


「・・・・はい」

『・・・・あー、あー、テステス。こちら福の神です。どーぞ』

「間に合ってます」




ガチャ

ピーンポ――ンピーンポ―ピーンポ―ピーンポ―ピーンポ―ピーンポ―ピーンポ―ピーンポ――ン




「はい」

『ごめんなさい』

「分かればいいです」


・・・・まったく、どこの世界にマイクテストする福の神がいますか

しかもドアホンで


「・・・・で、新年早々なんですか?」

『いや、これから初詣に行こうと思ってな。天野を誘いに来たんだ』

「・・・・・・」


どうやら神様は初詣する前から願いを叶えてくださったみたいです

サービス良すぎです


『で、行くか?』

「・・・・は!?は、はい。では用意しますので中で待っててください」

『ああ、実は寒くて仕方が無かったんだ』

「では、今開けますから」


慌ててドアの方に向かいます










ガチャ




「よ」


ドアを開けると、寒そうな相沢さんがそこにいました


「よ、じゃないです」

「ん?ああ、明けましておめでとう」

「はい、明けましておめでとうございます」


二人で笑いながら家の中に入ります


「ふぅ、寒かった」

「・・・・もぅ、そんなに寒いのが苦手だったら明日にすればよかったのでは?」

「いや、新年明けてすぐに天野に会いたかったんだ」




ポッ




「そ、そうですか・・・・私も、実は相沢さんに会いたかったんです」

「おぉ、以心伝心だな♪」


私がそう言うと、本当に嬉しそうな顔になる相沢さん

・・・・私も嬉しいです


「そ、それでは用意してきますね」

「ん?・・・・別に今のまんまでもいいんじゃないか?カワイイし似合うぞ」

「え?」


そう言われて今の格好を思い出す






パジャマに半纏(はんてん)

メガネ付き






・・・・・・ぼっ




「す、すぐ着替えてきますっ!!」




タタタタタタタタタタタタタ・・・・・・・・      バタンッ!




「・・・・・速いな、天野」




















「・・・・・お待たせいたしました」


外出用に着替えてくると


「ん、いやいや。あ、ごっそさんでした」

「いえいえ、こんなもんしかお出し出来なくて」


母親が甘酒を飲ませてた


「って!お、お母さん!!何してるの!!」

「何って、折角寒いのに来てくださったんだからこう温まるものをと思って」

「いやぁ、おかげさんで温まりました」

「あら、良かったわ♪」

「じゃないですっ!!もう、お母さんはあっちに行ってくださいっ!!」

「はいはい。それじゃ、美汐が相沢さんを暖めてあげなさいね」

「・・・・・・・なっ!?」


何を言い出すんですかこの親はっ!!


「それじゃ、一晩帰ってこなくてもいいからねぇ」


私が反論する前に、奥に引っ込んでしまう母


「あ・・・ぅ・・・・え・・・ぁ」

「・・・・・強者だな・・・・・・・・さて、天野」

「ひゃ、ひゃいっ!!」

「そろそろ行くか」

「・・・・あ、そ、そうですね」





















「・・・・・はぁ」

「どうした天野。新年早々ため息なんかついて」

「新年早々からかわれたからですよ・・・・・」


しかも疲れは2倍

いつか本当に出てってやる


「ところで、天野」

「はい?」




かしっ




「きゃっ!?」


え、わ、私の腕を?


「折角許可貰ったんだ。暖まろうぜ♪」

「・・・・・はい」




きゅ




私からも、少しだけ腕に抱きつきます


「・・・・暖かいです」















「あ、着きましたね」

「・・・・このクソ寒いのに結構いるな」

「・・・・はい」


ちょっと時間かかりそうです


「ま、仕方ない。ゆっくり待とうぜ」

「そう、ですね」




きゅぅ




「・・・・その間、こうしててもいいですよね?」

「・・・・ああ、寒いしな」


そう言って、少しそっぽを向いてしまう相沢さん

・・・・私も、ちょっと照れちゃいます










「ふぅ、やっと番が来たな」

「それじゃあ、御賽銭を・・・・」


えっと・・・・


「ん?やけに小銭が多いな」

「はい、45円だと『始終ご縁がある』と言って縁起がいいんですよ」

「ふ〜〜ん。俺は今まで10円だったけどな」

「10円は『遠縁』といって縁起が悪いんです」

「・・・・げ・・・・じゃあ、俺も45円にするわ。二人足せば苦(9)がない(0)になるし」

「・・・・そういう都合のいいことだけはすぐに思いつくんですね」










ぱんぱん




目をつぶって、お祈りをします




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・よしっ




目を開けると、丁度相沢さんも終わったところのようです


「行くか」

「はい」










「で、何お願いした?」

「・・・・早速聞いてきますか」


マナー違反ですよ?


「まぁ、いいじゃないか」

「・・・・秘密です」


・・・・と、いうか恥ずかしくて言えません(////)


「ケチ」

「・・・・そういう相沢さんは何をお願いしたんですか?」

「へ?・・・・・俺は・・・・・・・」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・にっ




「・・・・何を思いつきました?」

「・・・・・別に」


嘘だ。絶対嘘だ

今『にっ』って笑ったもん


「・・・・隙ありっ」

「へ?」




ちゅっ




「・・・・・・!?!?!?!?!」


な、何を、え、今!?


「ふっふっふ。今年初の天野のキスは頂いた」

「・・・・・・・・・(/////)」


ふ、不意打ちなんて卑怯です・・・・


「で、どうだ?」

「・・・・・・な、何がです」

「これが俺の願い事、さ」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「・・・・いきなり人の唇を奪うことですか?」

「それもある」


って!!

そ、そんなの・・・・・・いつもしてるじゃないですか・・・・・(////)


「・・・・・俺の願いってのはな?」




すっ




私の目をじっとみつめる相沢さん


「美汐をこれからもずっと暖めてやること、さ」

「・・・・・」


そんな・・・・

もう暑いくらいです・・・・(////)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「・・・・相沢、さん」

「ん?」




ちゅっ




「!?」






初めての私からのキス

・・・・短いのに、長く感じます・・・・






・・・・・そして、そっと唇を外します


「・・・・・美汐?」

「・・・・・私も相沢さんを暖めてあげますね」










二人の心がずっと春でいられるように


いつまでも


いつまでも


一緒にいましょうね・・・・









後書き

新年明けたらしくおめでとうございます

雪羽「おめでとうございます」

と、いうわけで年賀状SSを勝手に進呈いたします

雪羽「・・・・もう年明け30分前だよ?」

ギリギリだったな・・・・私のこれからの運勢暗示してたりしないだろうな?

雪羽「最後もオチてんだかよくわかんないし」

マジで山ナシ落ちナシ意味ナシSSだな

っつーかこれ本当に天野か?

雪羽「いや、聞かれても」

書けば書くほど似なくなる・・・・

ところで、SS内でキスシーンだしたの多分これが初めてだったりする

雪羽「で、この出来と」


では、改めて新年明けましておめでとうございます

雪羽「これからも『晴読雨読弐号店』をよろしくお願い致します」